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宇都宮地方裁判所 昭和27年(行モ)1号 決定

申請人 亀田豊房

被申請人 宇都宮市長

一、主  文

被申請人が昭和二十七年七月二日申請人に対して為した別紙目録記載の建物の移転命令代執行の為めの戒告を前提とする右代執行は一応その執行を停止する。

二、理  由

申請人は別紙目録記載の建物の所有者であるが昭和二十四年二月十五日栃木県知事小平重吉は申請人に対し土地区画整理施行の為め右建物移転の換地予定地を指定し同年五月二十九日移転を命じたしかるに、申請人が右移転に応じないので整理施行の移管を受けた宇都宮市長佐藤和三都は右移転命令の代執行の前提として、昭和二十七年七月二日附戒告書により申請人に対し同月七日午後五時までに移転すべき旨を戒告したのであることは疏明せられている。

申請人は右代執行さるべき移転命令は無効であり、無効の移転命令の代執行の前提として為された前記戒告は取消さるべきであるとしその無効の理由を列挙している。その内前記掲地は指定されたとしても確定されてないとの点であるが、整理施行者としては前記換地の指定を宇都宮市江野町三一一五番のイ及池上町三〇二〇ノ一とすると同時に、同月二十一日現地指示を為し、他方右指定地内には別に換地指定通知を受けた借地人山口金之助及び滝沢武の両借地人があつたので、この両名に対しては借地の位置及び坪数を所有者と協議して連署届出でるよう通知を為したのであるところが、滝沢武側との関係は協議も調い移転も完了したが、山口金之助との関係は今日に至るも両者換地の位置及び坪数は協議未了のままであることが疏明される。協議未了を否定して協議は調つたものであることを疏明するに足る証拠はない。尤も山口金之助は昭和二十七年五月頃換地移転を中止し他に土地を求めてこれに移転することを整理施行者に届出でたことは疏明がある。このことは山口金之助に関する換地は帰属不明に立至つたことを示すことにもなる、斯かる次第であれば申請人に対する換地の指定は未確定の状態に置かれ、結局換地の指定なきに帰するものと解さねばならない。そこで申請人は移転命令の無効を理由に前記戒告の取消の行政訴訟を提起したのであるが、申請人が右戒告に基き前記移転命令の代執行を実行されたときは補償に替え難い損害を蒙るの虞ある状況は申請人の疏明により窺われ得ないこともない。また右代執行の一応の停止によつて差当り整理の施行を著しく遅延し、公共の福祉に重大な影響を与える虞ありとは認められない。尤も事情変更等の理由発生したときは、裁判所は何時にても執行停止の決定は取消すことができることは法の明定する通りである。以上の理由により申請人主張の爾余の部分は判断を省略して申請人の本件申請を理由ありと認め主文の通り決定する。

(裁判官 岡村顕二)

(別紙目録省略)

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